REPORTS

レポート

2025年1月7日 U-FINO

グランフロント大阪とグラングリーン大阪で開催:都市型カンファレンスと来場者体験型の展示会
「イノベーションストリーム KANSAI 8.0 ~ うめきたで “ディープテック”に触れる*出会う ~」

 イノベーションストリームKANSAI8.0は、2024年11月28日、29日に、グランフロント大阪 北館 地下2階のナレッジキャピタルコングレコンベンションセンターと、今年9月にグラングリーン大阪 北館に新たに開業した、JAM BASEのCONFERENCE、Syn-SALONを利用して開催しました。
 今年は、「うめきたで “ディープテック”に触れる*出会う 」というテーマで、「うめきた」という都心・街中でイノベーション創出の根幹となる大学や研究機関の技術に触れていただくという初心に帰るテーマで開催しました。

 本イベントの大きな特徴の一つである、大学・研究機関の展示会場を設けた、コングレコンベンションセンターでは、32の大学・研究機関等による体験型中心の展示会のほか、近畿経済産業局との連携コンテンツを中心に11のカンファレンスを開催しました。ホール全館を利用した展示会場は、イノスト史上最大規模での開催でした。
 また、JAM BASE会場では、カンファレンスルームとSyn-SALONを利用してコラボレーションコンテンツと交流会を開催。これまでのイノストとは違った雰囲気の中、新しい可能性を感じる空間となりました。
 今年も、関西を中心にイノベーションに関わる様々なプレイヤーが集まる場となった2日間にわたる開催の様子を振り返ります。

画像
展示会場のブースでは、様々な体験のほか、出展者からの説明を熱心に聞く参加者の姿が印象的でした。

イノベーションにつながる新しい技術・研究を身近に感じてもらう体験型展示会

 U-FINOでは、ディープテック分野を支援する事業がいくつかありますが、大学・研究機関の研究内容は難しく、専門家以外の方がその研究内容や活動に触れる機会は多くなく、日常生活と研究者との距離が遠い場面が多いように感じられます。
 一方で、大学や研究機関発の新しい技術や研究成果は、社会を変えるようなイノベーションの実現に向けては、きわめて重要な要素です。そこで、普段あまり大学の技術や研究成果と接点を持つことが少ないような方々にも、最新の研究内容などに気軽に触れ、身近に感じていただくとともに、体験を通じたフィードバックを出展者にしていただくことにより、大学・研究機関の研究もより進むという相乗効果の発揮を目的として体験型展示会を開催しています。今回も研究成果などのほか、各機関発のスタートアップ企業やイノベーション創出につながる活動、JAM BASEに入居する大学・研究機関も含め過去最多の32の大学・研究機関に出展していただきました。

 イベントのテーマであるディープテック分野からは、AI/人工知能、バイオ、ロボティクス、AR/VRの各分野で関西学院大学、甲南大学、奈良女子大学、大阪産業技術研究所、滋賀県立大学、同志社大学、NICTの各機関に出展をしていただきました。その他も含む各大学・出展機関の内容についてはぜひ一度こちらからご参照ください。

 出展機関のうち、AR/ VRのテーマで出展いただいた、NICT(国立研究開発法人 情報通信研究機構)未来ICT研究所のブースでは、リアル空間とバーチャル空間を融合させた複合現実(Mixed Reality:MR)の体験ができました。

画像
現実世界にバーチャル空間が重なる世界はVRとも異なる体験で没入感や圧迫感の違いなどを感じました。

 また、28日(木)の午前中に、セミナー会場での「関西学院大学 研究開発シーズ発表会 『視る・感じる・理解する』~シーズ発表とデモ展示のハイブリッド開催~」も開催された、関西学院大学のブースでは、今年も来場者が体験できるコンテンツを4つのテーマに分けて紹介していただきました。
 「子どもの暮らしを豊かにする眼球運動検査・トレーニングエコシステム構築のための機器・システム開発」では、スマホの普及や運動機会の減少などにより、眼球を運動させる機会の低下から潜在的に眼球運動に差し障りのある子どもが増加していることに対して、子どもの学び、運動等に深く関わる眼球運動向上のためのクラウドシステムのデモ機を体験できました。

画像
気が散りやすい子どもが遊び感覚でトレーニングができるように様々な工夫がされていました。

 その他、各展示ブースではそれぞれの大学や研究機関・支援機関などの紹介があり、今後の連携につながるような出会いや交流が生まれていました。詳しくはぜひイベントページをご覧ください。

画像 画像 画像 画像 画像 画像 画像 画像 画像 画像 画像 画像 画像 画像 画像 画像 画像 画像 画像 画像 画像 画像 画像 画像 画像 画像 画像 画像 画像 画像 画像
すべての展示内容にストーリーがあり、各機関のイノベーション創出につながる取り組みが一堂に集まるさまはここから次のイノベーションが起こる予感を感じました。

基調講演「これまでとこれからのIT~イニシアティブをとり続けるために~」

 カンファレンスイベントでは、初日の10時30分からホール特設会場で、株式会社インターネットイニシアティブ 代表取締役 会長執行役員兼Co-CEOの鈴木 幸一氏をお招きし、基調講演をしていただきました。
 U-FINOの目的のひとつに、「新産業創出」があります。新しい産業をU-FINOが創出支援し、関西経済をけん引してことをめざすとても高い目標です。基調講演にお越しいただいた、鈴木会長は、当時の新産業であるインターネットを日本に持ち込んだ立役者として知られています。鈴木会長からは、現状のイノベーションを取り巻く状況について、国レベル・産業レベルでの環境の違いや、大きな技術革新があった際に国がどのような役割を担うべきかという高い視座からのお話とともに、企業家へのメッセージとして、お膳立てされたような起業ではなく、大きな野心を持って、海外にも目を向けることの重要さを熱く語っていただきました。今のようなスタートアップ企業といった概念もなかったころ、私は零細企業を設立したという発言と、日本は多様性に乏しいという発言が印象的でした。

画像
 参加者との意見交換では、現在のスタートアップ支援を取り巻く環境や、若手起業家へのメッセージなどがについて質問がありました。

FINALピッチ ~X KANSAI ソーシャルイノベーションプログラム~

 続いて、初日の午後のプログラムでは、14時からホール特設会場で、U-FINOが主催する、「X KANSAI ソーシャルイノベーションプログラム」と連携して、FINAL ピッチを開催しました。プログラムでは、①脱炭素・ごみゼロ、②健康・ヘルスケア、③モビリティの3分野をテーマに、関西圏の自治体が参加する2回連続のワークショップにおいて、課題を構造化し、課題解決に重要な内容を3テーマあわせて、計11の課題として民間事業者の公募を実施しました。
 当日は、書面審査を通過した、8つの企業が登壇し、課題に対する事業アイデアをピッチ形式で提案しました。審査の結果、最優秀賞には、「フレイル対策」に対して「ピアサポート型アプリを活用したフレイル予防事業~住民同士の支え合いによる運動継続と社会参加による孤独の解消~」を提案したエーテンラボ株式会社が選ばれました。

画像 画像
当日は企業8社のほか、関西圏の自治体から官民共創の取り組みについての紹介もしていただきました。(右は最優秀賞を受賞したエーテンラボ株式会社のピッチの様子)

XKANSAIソーシャルイノベーションプログラムについての詳細は、ぜひプログラムページ及び、イベントとレポートをご参照ください。
プログラムHP:https://u-fino.com/program/xkansai/

大学発スタートアップ支援者に届けるキーワード~IPランドスケープ、IPAS~

 会期2日目の29日の10時から、ホール特設会場では、独立行政法人 工業所有権情報・研修館(INPIT)と連携してセミナーを開催しました。
 ホール内の展示会場出展者にも関連するようなセッションをという、担当者の希望に沿って、INPITさんが企画していただいた内容を開催していただきました。事業化において、重要な要素となる適切な出口戦略の構築やパートナー企業との連携の支援策として、INPITで実施している2つのプログラム(IPランドスケープ、IPAS)を紹介していただくとともに、実際にプログラムを利用している(された)企業2社が登壇し、プログラムを利用した効果などについて紹介していただきました。

画像
利用に至った経緯から、実際に利用してどのように事業拡大に生かしていったのかといった話を利用者ならではの視点でお話しいただき、出展者の皆様にも届く内容でした。

NewsPicks WestShip Presents
結実へ導く次代のイノベーションマネジメントの真髄とは?

 29日の16時からJAM BASEの4階4-1・4-2カンファレンスルームを会場に、コラボレーションコンテンツとして、「NewsPicks WestShip Presents 結実へ導く次代のイノベーションマネジメントの真髄とは?」を開催しました。
 事業会社とスタートアップ企業との連携で実際に成果をあげるために必要な体系化した実効性の高い「イノベーションマネジメント」の整備に向けて、大企業としてどのようなイノベーションをめざすべきか、そのために経営人材/事業部門のリーダーとして、今後何をしていくべきかについて、トークセッションによるインプットののち、参加者とともに議論しました。

画像
各テーブルに分かれて同じ視座を持つ関係者で意見交換することにより、実践につながる手法で開催しました。

イノベーションに関するさまざまなカンファレンスとの連携

 今回も、上記でとりあげたコンテンツ以外にも各機関と連携して多数のトークセッション、ワークショップ等を開催しました。今年も大学シーズ・研究成果の紹介や、大企業とスタートアップ・中小企業がつながるためのテーマごとのセミナーやワークショップのほか、セレモニーなどさまざまな内容を実施しました。
 各会場では、それぞれ終了後も活発な交流や意見交換が行われ、非常に熱気があり、貴重な機会になったものと感じています。
 各イベントの主催機関の皆様にはこの場をお借りして改めてお礼申し上げます。

画像 画像 画像 画像 画像 画像 画像 画像
(左1段目)関西学院大学 研究開発シーズ発表会 『視る・感じる・理解する』~シーズ発表とデモ展示のハイブリッド開催~
(右1段目)Local X STAGE
(左2段目)関西スタートアップと大企業との連携のあり方を探る!
(右2段目)地域の人材確保セミナー ~”採用、育成、定着”の人材課題に「地域一体」で挑む!~
(左3段目)「MEETUP CHUBU」 ×関西・共創の森「DAYS」
(右3段目)関西越境人材×スタートアップコミュニティイベント
(左4段目)KSIIゼブラ認定セレモニー2024
(右4段目)The OPEN DIALOGUE from BE THE LOVED COMPANY - ”取組”から醸し出される”自社らしさ”を捉え直す -

 今回のイノベーションストリームKANSAIは、グランフロント大阪とグラングリーン大阪と大きく2つの会場を利用して開催し、うめきたエリア全体でのイノベーション創出気運を醸成できました。また、11月中旬から12月初旬にかけて、うめきたエリア以外も含めてイノベーションに関連するイベントが数多く開催され、それらイベントとも連携しながら開催しました。

画像 画像
コングレコンベンションセンター会場の受付では今年も属性ごとに色を分けたストラップを配付しました。(左:受付の様子)、JAM BASEカンファレンスルームの会場前の様子(右)

多様な方が交わる場、JAM BASEで開催した交流会

 28日(木)には、出展機関の方を対象とした出展者交流会を、29日(金)はオープンな交流会をそれぞれJAM BASE4階の会員施設Syn-SALONで開催しました。真新しいわくわくする施設で多くの方にご参加いただき開催することができました。

画像 画像
28日の出展者交流会(写真左)。29日の交流会(写真右)

 今回が8回目の開催となった、イノベーションストリームKANSAI。初開催の2018年2月はグラングリーン大阪という名前はもちろん、現在の枠組みが決定する前の開催でした。今回の開催では、先行まちびらきしたJAM BASEに入居する大学や研究機関にもブース出展という形で参加いただき、新しい段階に入ったわくわく感がいっぱいでした。
 今後も、関西の大学や研究機関をはじめとする、多様な関係者と連携していく場の形成・発展に向けて、U-FINOではイノベーション創出につながる様々な事業を進めてまいりますので、引き続き皆様のご支援、ご参画をお願いいたします。

  1. HOME
  2. EVENT
  3. EVENT REPORT一覧
  4. イノベーションストリームKANSAI 8.0