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レポート

2025年1月15日 U-FINO

社会課題解決に向けて関西圏の企業、自治体・官公庁、金融機関、教育機関などが一体的に、コレクティブに社会課題解決(社会的インパクト創出)に取り組む、「X KANSAIソーシャルイノベーション・プログラム」(第1期)

 今年度U-FINOでは新たに、社会課題解決とイノベーションの両立に向けて、関西圏の企業、自治体・官公庁、金融機関、教育機関などが一体的に、そしてコレクティブに社会課題解決(社会的インパクト創出)に取り組むために、「X KANSAIソーシャルイノベーション・プログラム」(第1期)を実施しました。
 初回開催の模様を7月24日のキックオフセミナー以降、11月28日に開催したFINAL ピッチまでの開催結果を時系列に沿ってご紹介します。
 ※キックオフセミナーの開催レポートはこちらをご参照ください。

関西の自治体が集まり、テーマに沿って課題を構造化するワークショップ

 2024年9月13日、25日の2回連続で、関西の自治体職員を対象としたワークショップを先行まちびらき直後のグラングリーン大阪 北館JAM BASE 4階にあるカンファレンスルームで開催しました。
 ワークショップで構造化する課題テーマは、グラングリーン大阪と親和性の高い(①脱炭素・ごみゼロ、②健康・ヘルスケア、③モビリティ)、3つのテーマを事務局で設定しました。
 1回目の9月13日のワークショップでは、課題構造化についての手法レクチャーを受けたあと、上記のテーマ毎に分かれて、それぞれ課題の背景やボトルネックとなっているポイントなどについて議論しながら構造化マップを作成しました。

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9/13のワークショップでは、特定非営利活動法人イシュープラスデザインの森ディレクターから課題の構造化に向けた手法をレクチャーをしていただきました。その後、3つのテーマに分かれて、テーマごとに構造マップの暫定版を作成しました。

 続く、2回目の9月25日のワークショップでは、官民が共創する際に陥りがちな問題点などのレクチャーを踏まえて、前回作成した課題構造化マップをベースに、テーマごとにレバレッジポイント設定と課題の言語化を行いました。

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9/25のワークショップでは、官民共創事業の支援実績を多数有するソーシャル・エックス代表取締役の伊佐治 幸泰氏(写真左)と、木村 亮太氏(写真右)から自治体職員向けに民間事業会社との共創における留意点等について説明がありました。
2回連続参加という難しい条件にも関わらず、熱意ある自治体職員が集まり、自治体の枠を超えた議論とともにそれぞれの自治体の課題の共有などにより交流も深まりました。

課題に対する解決策の募集と、「社会課題解決とイノベーションが両立する新規事業のつくり方」~X KANSAI ソーシャルイノベーションプログラム~

 2回のワークショップでテーマ毎に作成した課題構造化マップを事務局で整理し、課題構造化マップの中から特に解決すべき課題を各テーマ3~4抽出しました。
 最終的に、3テーマあわせて11課題を募集テーマとして、民間事業者を対象にした課題解決策の公募を10月1日から開始しました。また、今回U-FINOでは初めての事業ということもあり、プログラムを広く知っていただくための公募説明会と社会課題解決に向けた機運醸成につなげていくことを目的とするセミナー「『社会課題解決とイノベーションが両立する新規事業のつくり方』~X KANSAI ソーシャルイノベーションプログラム~」を10月9日に開催しました。

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課題構造化マップでは、課題がどのように関連しているのかが「見える化」され、解決にあたってどの課題解決を優先すべきかといったポイントを整理しました。
10/9の説明会部分では、応募にあたってのポイントをソーシャル・エックスの藤井 哲也取締役に説明していただきました。

 10月9日のセミナーでは、冒頭に経済産業省 イノベーション・環境局 イノベーション創出新事業推進課 課長補佐の中込まどか氏にご登壇いただき、「今なぜ、社会課題解決企業は応援されるのか」というテーマで、インパクトスターアップや地域課題解決、ローカルゼブラなどをとりまく直近の状況についてご紹介をいただきました。
 また食品ロスという社会課題の解決につながる事業を自治体や他の企業とも連携して展開するロスゼロの文美月社長から、自治体と実際に連携に至るまでのお話や、連携による効果などについて会場開催ならではのお話をしていただきました。

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中込課長補佐(写真左)の大局的なお話と、文社長(写真右)のこれまでの経験に根ざしたお話に多くの来場者が聞き入っていました。文社長からの『社会課題解決をボランティアではなく、双方のプラスになる方法で取り組むことが重要』というメッセージが印象的でした。

 後段のパネルディスカッションでは、「ソーシャルイノベーション事業への金融機関、投資家、自治体からの視線」というタイトルで、パネリストに一般社団法人サステナビリティデータ標準化機構 の平瀬 錬司代表理事、フューチャーベンチャーキャピタル株式会社の本田 哲也インベスト・オフィサー、明石市役所産官学共創課の上野 誠課長、ソーシャル・エックスの伊佐治 幸泰代表取締役の4名をお迎えし、ソーシャル・エックスの藤井 哲也取締役に進行していただきました。
 様々な立場の登壇者が、社会課題解決事業の現在地やそれぞれの取り組み、期待や課題などについてお話しいただき、意見交換をしていただきました。

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多様な登壇者によるパネルディスカッションは白熱した内容となり、予定時間を大幅に超えました。
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大きく時間を押しましたが、終了後の交流会では、活発な名刺交換が行われ参加者の熱量が感じられました。

FINALピッチ~X KANSAI ソーシャルイノベーションプログラム~

 11月7日の公募締め切りまでに、事務局の想定を上回る多数の事業提案がありました。応募いただいた資料をもとに慎重な書面審査を行った結果、FINALピッチ進出企業を8社選定しました。
 FINALピッチは、様々な方にご覧いただきたいという思いもあり、U-FINOが1年に1回開催する都市型カンファレンス「イノベーションストリームKANSAI 8.0」のコンテンツとして開催しました。
 ピッチの部分では、課題テーマごとに、1社ずつ、5分間のプレゼンテーションを実施していただき、その後審査員からの質疑応答がありました。
 ※イノベーションストリームKANSAI 8.0の開催レポートはこちら

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FINALピッチに登壇した8社からは、提案事業の内容等について説明をしていただきました。
(左1段目)スパイスキューブ、(右1段目)BIOTECHWORKS-H2
(左2段目)HITOTO、(右2段目)BABY JOB
(左3段目)気象工学研究所、(右3段目)エーテンラボ
(左4段目)HONESTIES、(右4段目)DIIIG
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審査員は、一般財団法人社会変革推進財団 インパクト・エコノミー・ラボ インパクト・カタリストの川端元維さん、READYFOR株式会社 執行役員 VP of Fundraising serviceの小谷 菜美さん、神戸市役所 新産業創造課 イノベーション専門官の福田志織さんの3名と、審査委員長はU-FINO理事長の中沢が務めました。

 8社によるピッチ終了後、審査員による審査時間の間に会場内では、関西の3つの自治体から官民連携の取り組みを紹介していただきました。

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神戸市、大阪府、高石市の3つの自治体からそれぞれの自治体における官民連携事業についてご紹介をいただきました。その間、別室では審査員による白熱した審査が行われました(写真右下)。

 ピッチ登壇者の皆様の素晴らしいタイムマネジメントもあり、少し早めにプログラムが進捗していたのですが、審査員による審査は大変白熱し、審査時間を超過する厳正なる審査の結果、第1期のプログラムの受賞企業が発表されました。
 注目の最優秀賞は、「【課題テーマ B-4 フレイル対策を進めたい】にピアサポート型アプリを活用したフレイル予防事業~住民同士の支え合いによる運動継続と社会参加による孤独の解消~」を提案された、エーテンラボさんが受賞しました。また、優秀賞は、「【課題テーマ A-1 住民や事業者の再エネ・省エネを進めたい】に「ごみZEROプロジェクト」廃棄物から水素へ」を提案した、株式会社BIOTECHWORKS-H2が、特別賞には、「【テーマ A-1 住民や事業者の再エネ・省エネを進めたい】」に世界初!「水平リサイクルおむつ」のサブスクで脱炭素と共に保護者と保育士の負担軽減を提案されたBABY JOB株式会社がそれぞれ受賞しました。
 各表彰企業には、審査員から、表彰盾や目録の授与が行われました。受賞企業の皆様おめでとうございます。

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 以上のとおり、ピッチコンテストは終了しましたが、本プログラムは、自治体が抱える社会課題の解決とイノベーション創出の両立をめざしています。今年度のプログラムも、ピッチコンテストで表彰をして終わりではなく、会場での出会いや交流以外に、実際の社会課題解決につなげていくべく、今後の支援に向けた各社とのヒアリング等を進めています。
 審査員の皆様からのコメントにもありましたが、賞を決定して終わりではなく、今回提案いただいたすべての事業を通じて、ひとつでも社会課題の解決につながるように支援をしていく予定です。

 U-FINOが拠点を置く、グラングリーン大阪のJAM BASEから、次々と社会課題が解決していくことを目標に、行政や民間事業者をはじめとする多様な主体が、コレクティブに社会課題解決に取り組める場づくりや機会提供を進めていきます。

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